韓国冷麺の本格レシピ|暑い日にぴったりなひんやり麺で夏を乗り切る
うだるような日本の夏。食欲が落ちてしまいがちなこの季節に、つるりといける冷たい麺料理はまさに救世主です。中でも、シャリシャリに凍ったスープと弾力のある麺が特徴の韓国冷麺(ネンミョン)は、一口食べれば体の芯からクールダウンできる、まさに「暑い日にぴったりなひんやり麺」の代表格。
しかし、「本格的な韓国冷麺は難しそう」「お店で食べるもの」と思っていませんか? 実は、いくつかのポイントを押さえれば、ご家庭でも十分、韓国の味を再現できるんです。この記事では、美味しい韓国冷麺を自宅で作るための「韓国冷麺の本格レシピ」を、ムルネンミョン(水冷麺)とビビンネンミョン(混ぜ冷麺)の2種類に分けてご紹介します。基本的なスープの作り方から、麺の選び方、茹で方、そして欠かせないトッピングまで、詳しく解説します。
手軽に作れる「簡単な食事」としても、野菜たっぷりで満足感のある「ヘルシーレシピ」としても楽しめる韓国冷麺。今年の夏は、自家製本格冷麺で涼しく、美味しく乗り切りましょう!
韓国冷麺(ネンミョン)とは?その魅力と歴史
韓国冷麺(ネンミョン、냉면)は、朝鮮半島北部(特に平壌や咸興)が発祥とされる麺料理です。そば粉やジャガイモ・サツマイモのでんぷんを主原料とした細くコシの強い麺を、冷たいスープやタレでいただくのが特徴です。特に夏場に人気が高いですが、韓国では一年を通して食べられるポピュラーな料理です。
冷麺がなぜこれほどまでに暑い日に愛されるのでしょうか? その最大の理由は、徹底的に冷やされたスープや、タレと和えることで生まれる清涼感にあります。家庭で作る際も、スープをキンキンに冷やす、あるいは凍らせたものを使うのが本格的な味に近づける秘訣です。
冷麺には大きく分けて2つの代表的な種類があります。一つは、冷たい肉だしやトンチミ(大根の塩漬けの汁)をベースにした透明なスープでいただく「ムルネンミョン(水冷麺)」。もう一つは、コチュジャンベースの辛いタレで麺と具材を和えていただく「ビビンネンミョン(混ぜ冷麺)」です。どちらも韓国を代表する「アジア料理」であり、それぞれの魅力があります。
冷麺の歴史について詳しく知りたい方は、Wikipediaの冷麺のページも参考にしてみてください。朝鮮時代の文献にも冷麺が登場するなど、非常に長い歴史を持つ料理であることが分かります。

本格スープの作り方:ムルネンミョンの要
ムルネンミョンの美味しさの決め手は、何と言ってもその冷たいスープです。お店のような本格的なスープを作るには、いくつかの段階を踏む必要がありますが、自家製ならではの美味しさは格別です。ここでは、牛だしをベースにした伝統的なスープの作り方をご紹介します。
基本の牛だしスープ
(約4人分)
材料:
- 牛すじ肉 または 牛バラ肉: 300g
- 水: 2リットル
- 玉ねぎ: 1個(皮をむいて半分に切る)
- 長ネギ(青い部分): 1本分
- ニンニク: 3〜4かけ
- 生姜: 1かけ(薄切り)
- 大根: 5cm程度(厚めに輪切り)
- 韓国産唐辛子(乾燥、種を取る): 1~2本(お好みで)
- スープの味付け用:
- 醤油(韓国醤油または薄口醤油): 大さじ2〜3
- 砂糖: 大さじ1〜2
- 酢: 大さじ2〜3
- 塩: 少々(味を調えるため)
作り方:
- 牛肉は水に30分〜1時間ほどつけて血抜きをする。
- 大きめの鍋に牛肉と分量の水を入れて火にかける。沸騰したらアクを丁寧に取り除く。
- アクを取り終えたら、玉ねぎ、長ネギ、ニンニク、生姜、大根、唐辛子(お好みで)を加える。
- 再び沸騰したら弱火にし、蓋を少しずらして、牛肉が柔らかくなるまで1時間半〜2時間ほど煮込む。
- 煮込み終わったら火を止め、具材を全て取り出す。牛肉は冷麺のトッピングに使うので取っておく。野菜類は捨てる。
- スープを目の細かいザルやキッチンペーパーを敷いたザルなどで漉し、不純物をしっかり取り除く。これが透明で綺麗なスープにするための重要な工程です。
- 漉したスープに、醤油、砂糖、酢、塩を加えて味を調える。最初は控えめに入れ、味見をしながら調整する。韓国冷麺のスープは甘み、酸味、塩味のバランスが重要です。
- 味付けが終わったら、スープを完全に冷ます。粗熱が取れたら清潔な容器に移し、冷蔵庫でしっかりと冷やす。できれば半日〜一晩冷やすのが理想です。
- さらに本格的にするには、飲む直前に冷凍庫に1〜2時間入れて、スープの表面を少し凍らせたり、器ごと冷やしておくと良い。スープの一部を凍らせてシャーベット状にしておき、盛り付け時に加えるのもおすすめです。
ポイント:
牛だしの代わりに、鶏ガラや煮干しでだしを取っても美味しく作れます。牛だしが苦手な方や、より軽やかな味にしたい場合は試してみてください。
市販の冷麺スープの素を使うと、より「簡単な食事」として手軽に本格的な味を楽しめます。ただし、その場合でも最後に砂糖や酢で味を調整し、しっかりと冷やすことでクオリティがアップします。
使用した牛肉は、薄切りにしてトッピングとして使うことができます。冷麺と一緒にいただく「韓国バーベキュー」のお肉をトッピングするのも美味しい組み合わせです。
スパイシーな魅力!ビビンネンミョンのタレ
ビビンネンミョンは、甘辛いコチュジャンベースのタレで麺と具材を豪快に混ぜていただく、パンチのある冷麺です。辛いもの好きにはたまらない美味しさで、食欲を刺激します。自家製タレで、自分好みの辛さや甘さに調整できるのが魅力です。
ビビンネンミョン用甘辛タレ
(約4人分)
材料:
- コチュジャン: 大さじ4
- 粉唐辛子(韓国産、細挽き): 大さじ1〜2(辛さはお好みで調整)
- 醤油: 大さじ1.5
- 砂糖: 大さじ2〜3
- 水飴 または オリゴ糖: 大さじ1(照りとコクが出る)
- おろしニンニク: 大さじ1
- おろし生姜: 小さじ1/2
- 酢: 大さじ2
- ごま油: 大さじ1
- いりごま: 大さじ1
- 玉ねぎ または リンゴ(すりおろし): 大さじ2(甘みと旨味)
作り方:
- ボウルに全ての材料を入れ、なめらかになるまでよく混ぜ合わせる。
- 味見をして、辛さ、甘さ、酸味のバランスを調整する。甘みが足りなければ砂糖や水飴を、酸味が足りなければ酢を足す。
- 完成したタレは密閉容器に入れ、冷蔵庫で一晩寝かせると味が馴染んでより美味しくなる。
ポイント:
タレは使う直前ではなく、前もって作っておくのがおすすめです。味が馴染むことで、まろやかで深みのある味わいになります。
玉ねぎやリンゴのすりおろしを加えることで、自然な甘みとフルーティーさが加わり、タレに奥行きが出ます。
辛いのが苦手な方は粉唐辛子の量を減らすか、入れなくても美味しいです。逆に、もっと辛くしたい場合は粉唐辛子を増やしてください。

冷麺の命!美味しい麺の選び方と茹で方
冷麺の麺は、その独特のコシと食感が特徴です。市販のものでも十分美味しい本格的な冷麺を楽しめますが、麺の種類や茹で方に少しこだわるだけで、さらに満足度が上がります。
麺の種類
- そば粉ベース(平壌冷麺タイプ): 主にそば粉を使用しており、色はやや灰色がかっています。コシが強く、噛み切りにくいのが特徴です。あっさりとしたムルネンミョンによく合います。
- でんぷんベース(咸興冷麺タイプ): ジャガイモやサツマイモのでんぷんを使用しており、透明感があり、より強い弾力とツルツルした食感が特徴です。ビビンネンミョンのスパイシーなタレとよく絡みます。
どちらのタイプも市販されていますので、お好みや作る冷麺の種類に合わせて選んでみてください。
麺の茹で方
冷麺の麺は非常に早く茹で上がるものが多く、またすぐにくっつきやすい性質があります。以下の手順で手際よく茹でることが重要です。
手順:
- 大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かす。麺に対して十分な量のお湯を使うのがポイントです。
- お湯が沸騰したら、麺をほぐしながら鍋に入れる。
- 麺の種類によって茹で時間は異なりますが、パッケージの表示を確認し、記載された時間通りに茹でる。一般的に1分〜3分程度と非常に短いです。
- 麺がくっつかないように、時々菜箸で優しくかき混ぜる。
- 茹で上がったら、すぐにザルにあけ、冷たい流水で麺のぬめりをしっかりと洗い流す。麺同士がくっつかず、コシが出るように、揉むようにしっかりと洗います。
- 流水で洗った後、さらに氷水にさらして麺をしっかりと冷やす。これが「暑い日にぴったりなひんやり麺」を作る上で非常に重要な工程です。麺がキュッと締まり、独特のコシが生まれます。
- 麺が十分に冷えたら、水気をしっかりと切る。盛り付け時に水っぽくならないように、手で軽く絞るようにすると良いでしょう。
ポイント:
冷麺の麺は非常に早く火が通るので、茹ですぎには注意が必要です。パッケージの表示時間は厳守しましょう。
茹でた後の冷水でしっかり洗う工程を省略すると、麺がくっついたりぬめりが残ったりして、本来の美味しさが損なわれます。ここは惜しまず丁寧に行いましょう。
冷麺を彩る必須トッピング
冷麺は麺とスープ(またはタレ)だけでも美味しいですが、様々なトッピングを加えることで、見た目も華やかになり、味のバランスも格段に良くなります。栄養バランスも整い、「ヘルシーレシピ」としての側面も強まります。
定番トッピング:
- きゅうり(千切り): シャキシャキした食感とさっぱりとした風味が、冷麺に欠かせません。
- 梨(韓国梨がベスト、なければ日本の梨でも可)(薄切り または 千切り): 独特の甘みとシャリシャリ感が、スープやタレの味を引き立てます。特にムルネンミョンには必須と言えるでしょう。
- 大根の甘酢漬け(センチェ または カクテキを薄切りに): 韓国冷麺専用のものが市販されています。酸味と甘み、ピリ辛さがアクセントになります。
- ゆで卵(半分に切る): 彩りも良く、栄養バランスもアップします。
- 牛の薄切り肉(煮込んだもの または 焼いたもの): ムルネンミョンのスープを煮込んだ牛肉や、「韓国バーベキュー」で焼いた牛肉を薄切りにして添えると、豪華さと満足感が増します。
- 韓国のり: 細かくちぎって散らすと、風味豊かになります(特にビビンネンミョンに合う)。
薬味:
- 酢: ムルネンミョンに少し加えると、味が引き締まります。
- からし(練り辛子): ムルネンミョンに溶かして入れると、独特の風味が加わり、本場に近い味わいになります。
- ごま油、いりごま: 仕上げに加えると風味がアップします。

ムルネンミョンの盛り付け方と食べ方
キンキンに冷えたスープと麺、そして色とりどりのトッピング。ムルネンミョンは見た目も涼やかで食欲をそそります。正しい盛り付けと食べ方で、より一層美味しくいただきましょう。
盛り付け:
- 器を冷凍庫で冷やしておく。
- 水気をしっかりと切った麺を器に盛り付ける。麺をきゅっとまとめて高さを出すようにすると見栄えが良いです。
- 麺の上に、きゅうり、梨、大根の甘酢漬け、牛肉などのトッピングを彩り良く並べる。
- 真ん中にゆで卵を半分に切って乗せる。
- シャリシャリに冷やした、または表面が凍ったスープを静かに注ぎ入れる。凍らせたスープの一部をクラッシュして乗せると、さらに涼やかで本格的になります。
- お好みでいりごまを散らす。
食べ方:
ムルネンミョンの麺は非常にコシが強いため、食べる前にキッチンバサミで麺を数カ所切ってからいただくのが一般的です。これにより、啜りやすくなり、具材とも絡みやすくなります。
まずはスープを一口。その冷たさと奥深い味わいを感じてください。次に麺と具材を混ぜていただきます。途中で酢やからしを加えて、味の変化を楽しむのもおすすめです。特にからしは、少量加えるだけで風味がガラリと変わるので試してみてください。
ビビンネンミョンの盛り付け方と食べ方
スパイシーでパンチのあるビビンネンミョンは、しっかり混ぜてタレを麺全体に絡ませるのが美味しさの秘訣です。手際よく盛り付け、豪快に混ぜていただきましょう。
盛り付け:
- 水気をしっかりと切った麺を器に盛り付ける。
- 麺の上に、きゅうり、梨、大根の甘酢漬け、牛肉、韓国のりなどのトッピングを乗せる。
- 真ん中にゆで卵を半分に切って乗せる。
- 麺の上に自家製甘辛タレをたっぷりと乗せる。タレの量は麺の量や辛さの好みで調整してください。
- お好みでごま油を回しかけ、いりごまを散らす。
食べ方:
ビビンネンミョンもムルネンミョンと同様、麺をキッチンバサミで切ってから食べ始めるのが一般的です。
食べ始める前に、スプーンと箸を使って麺とタレ、全ての具材をムラなくしっかりと混ぜ合わせます。タレが麺全体に絡むように、器の底から持ち上げるように丁寧に混ぜてください。
混ぜ終わったら豪快にいただきます。辛さが足りなければタレを追加したり、付属の冷たいスープ(ムルネンミョンとは別の、あっさりしたスープ)を加えて辛さを和らげながらいただくこともあります。

もっと手軽に!「簡単な食事」としての冷麺
本格的なスープをイチから作るのも楽しいですが、忙しい日の「クイックディナー」や「簡単な食事」として冷麺を楽しみたい場合もあります。そんな時は、市販の冷麺セットや、麺とスープ(またはタレ)が別売りのものを活用しましょう。
市販のスープでも、一手間加えるだけでグッと美味しくなります。例えば、添付のスープを溶かす際に、少量の牛だしの素を加えたり、砂糖や酢をほんの少し足して味を調整するだけで、深みが増します。そして何より、しっかりと冷やす、または凍らせる工程は省略しないこと。
トッピングも、きゅうりの千切りやゆで卵など、準備しやすいものだけでも十分美味しいです。時間がある時に大根の甘酢漬けを多めに作っておけば、いつでも本格的なトッピングが楽しめます。
このように、市販品を賢く活用すれば、本格的な味の雰囲気を楽しみつつ、驚くほど短時間で「暑い日にぴったりなひんやり麺」を食卓に並べることができます。これは、忙しい現代人にとって非常に嬉しい「クイックディナー」の選択肢と言えるでしょう。
冷麺の栄養価と「ヘルシーレシピ」としての魅力
冷麺は、夏の食欲不振時にも食べやすいだけでなく、栄養価の面でも優れた「ヘルシーレシピ」となり得ます。麺はそば粉やでんぷんが主成分で炭水化物ですが、トッピングを工夫することで、バランスの良い食事になります。
例えば、きゅうりや梨は水分やビタミン、食物繊維を補給できます。ゆで卵は良質なたんぱく源です。牛肉を少量加えることで鉄分なども摂取できます。また、ムルネンミョンのスープは比較的脂質が少なく、あっさりとしているため、夏バテ気味の体にも負担をかけにくいです。
ビビンネンミョンはタレに糖分が含まれますが、コチュジャンに含まれるカプサイシンは代謝を促進する効果も期待できます。野菜をたっぷり加えることで、より多くのビタミン、ミネラル、食物繊維を摂取でき、満足感も得られます。例えば、サラダ菜やレタス、豆もやしなどをトッピングとして加えるのもおすすめです。
このように、具材の選び方次第で、冷麺は栄養バランスに優れた「ヘルシーレシピ」として、夏の健康維持に役立てることができます。暑さで食欲がない時でも、冷たい麺と新鮮な野菜、そしてたんぱく質を一緒に摂れるのは大きなメリットです。
韓国料理全般について、その多様性や栄養価について知りたい場合は、例えばWikipediaの韓国料理のページなども参考になるでしょう。地域や季節によって様々な料理があることが分かります。
よくある質問とトラブルシューティング
Q: スープが濁ってしまいます。どうしたら良いですか?
A: スープが濁る主な原因は、アクをしっかり取らなかったり、煮込んだ後に不純物を十分に漉さなかったりすることです。煮込み中はこまめにアクを取り、煮込み終わったら必ず目の細かいザルやキッチンペーパーで丁寧に漉してください。
Q: 麺がくっついてしまいます。
A: 麺がくっつくのは、茹でる際に麺に対してお湯の量が少なかったり、茹でた後に冷たい流水でしっかり洗わなかったりするのが原因です。大きめの鍋でたっぷりのお湯を使い、茹でた後は氷水で揉むようにしっかりと洗ってください。
Q: ビビンタレが辛すぎます/甘すぎます。
A: タレの味付けは、材料の品質や個人の好みに左右されます。辛すぎる場合は、砂糖や梨のすりおろしを加えて甘みを足したり、ごま油を少し多めに加えてマイルドにしたりしてください。甘すぎる場合は、酢や醤油を少量加えて調整します。粉唐辛子の量で辛さを調整するのが基本です。

まとめ:自家製本格冷麺で最高の夏を!
今回は、「韓国冷麺の本格レシピ」として、ムルネンミョンとビビンネンミョンの作り方、美味しい麺の茹で方、そして欠かせないトッピングについて詳しくご紹介しました。
手間ひまかけて自家製スープを作れば、お店にも負けない本格的な味を再現できますし、市販品をうまく活用すれば「簡単な食事」や「クイックディナー」としても気軽に楽しめます。彩り豊かなトッピングを添えれば、「ヘルシーレシピ」として栄養バランスもバッチリ。
シャリシャリのスープ、ツルツルでコシのある麺、そして様々な具材のハーモニー。一口食べれば、その冷たさと美味しさが、体の熱をスーッと冷ましてくれるはずです。まさに「暑い日にぴったりなひんやり麺」!
今年の夏は、この記事で紹介した「韓国冷麺の本格レシピ」を参考に、ぜひご家庭で冷麺作りに挑戦してみてください。きっと、家族や友人も喜ぶ、夏の最高の思い出の一つになるはずです。韓国の夏の味覚を、心ゆくまでお楽しみください!