アブエラ風トレスレチェケーキ|夏にぴったりの9×13インチ簡単スイーツ
暑い夏の日々、ひんやりと冷たいスイーツは格別の美味しさですよね。今回ご紹介するのは、そんな夏にぴったりの絶品スイーツ、「アブエラ風トレスレチェケーキ」です。「アブエラ(Abuela)」とはスペイン語でおばあさんの意味。まるでラテンアメリカのおばあさんが愛情込めて作ってくれたような、素朴で心温まる味わいを、ご家庭で手軽に再現できるレシピです。
トレスレチェケーキは、その名の通り「3つのミルク」を使って作るしっとりとしたケーキ。スポンジケーキに、エバミルク、コンデンスミルク、生クリーム(または牛乳)を合わせた特製ミルクシロップをたっぷり染み込ませることで、他に類を見ないジューシーでリッチな食感が生まれます。このアブエラ風レシピは、特別な材料や難しいテクニックは一切不要。一般的な9×13インチ(約23×33cm)の耐熱皿一つで完成するので、オーブン任せで気軽に挑戦できます。
トレスレチェケーキはラテンアメリカの多くの国で親しまれている伝統料理であり、その起源については諸説あります。ニカラグア、メキシコ、キューバなど、それぞれの国で少しずつ異なる形で発展し、各国料理の代表的なデザートとして世界中に愛されています。まさに世界の味を家庭で楽しめる、素晴らしい一品と言えるでしょう。
この記事では、なぜこのアブエラ風トレスレチェケーキが夏にぴったりなのか、9×13インチ型を使うメリット、そして誰でも失敗なく作れるように、材料選びから焼き上げ、ミルクシロップの作り方、そして仕上げのデコレーションまで、詳しく丁寧に解説していきます。初めての方でも、このレシピを見ればきっと美味しいトレスレチェケーキが作れるはずです。さあ、夏のおやつタイムを彩る、ひんやり絶品スイーツ作りに挑戦してみましょう!
アブエラ風トレスレチェケーキが夏にぴったりな理由
トレスレチェケーキは、一般的に冷やして提供されるデザートです。ケーキ全体にミルクシロップがしっかりと染み込んでいるため、冷蔵庫で冷やすことで生地が引き締まり、ひんやりとした口当たりになります。この「ひんやり感」こそが、蒸し暑い日本の夏に心地よい清涼感を与えてくれる大きな理由です。
また、ミルクシロップの濃厚な甘さと、それを包み込むふわふわのスポンジケーキの組み合わせは、しっかりとした満足感を与えてくれます。しかし、冷たい状態でいただくことで、甘さが和らぎ、後味は意外とさっぱりと感じられます。トッピングにホイップクリームやフルーツを添えれば、さらに爽やかさが増し、暑さで食欲が落ちがちな夏でも、ついつい手が伸びてしまう美味しさです。
さらに、焼き立てを楽しむというよりも、一晩しっかりと冷やすことで真価を発揮するデザートなので、前もって作っておけるという点も夏のイベントやパーティーに便利です。週末に焼き、冷蔵庫で冷やしておけば、暑い平日でも帰宅後すぐに美味しいスイーツを楽しむことができます。

9×13インチ型を使うメリット
今回のレシピでは、一般的な家庭用オーブンで使いやすい9×13インチ(約23×33cm)の耐熱皿を使用します。このサイズの良い点はいくつかあります。
- ファミリーサイズでたっぷり作れる: この型を使えば、一度に多くの量を作ることができます。家族が多いご家庭はもちろん、友人との集まりやホームパーティーなど、みんなでシェアしたい時に非常に便利です。
- 均一に火が通りやすい: 比較的大判で浅めの型なので、ケーキ生地に均一に火が通りやすく、焼きムラができにくいというメリットがあります。初めてケーキを焼く方でも安心して挑戦できます。
- ミルクシロップが均等に染み込みやすい: 表面積が広いため、焼き上がったケーキにミルクシロップを注ぐ際に、全体に均等に染み渡らせやすいです。これが、トレスレチェケーキ特有のしっとり感を出すための重要なポイントです。
- 切り分けやすい: 四角い形状なので、人数に合わせてきれいに切り分けるのが簡単です。持ち運びにも便利で、ピクニックや手土産にも向いています。
- 特別な型が不要: 多くの家庭に一つはあるであろうサイズの耐熱皿なので、このケーキのためだけに特別な型を購入する必要がありません。手軽に始められます。
この9×13インチ型を使うことで、手軽でありながらも、皆で楽しめる十分な量のアブエラ風トレスレチェケーキを作ることができます。まさに簡単スイーツでありながら、満足度の高い仕上がりになるのです。
アブエラ風トレスレチェケーキの材料
このアブエラ風トレスレチェケーキは、シンプルな材料で作ることができます。ここでは、9×13インチ型(約23×33cm)で作る分量の材料を記載します。
ケーキ生地
- 薄力粉: 200g
- ベーキングパウダー: 小さじ2
- 塩: 小さじ1/4
- 無塩バター(常温に戻しておく): 110g
- グラニュー糖: 250g
- 卵(Mサイズ、常温に戻しておく): 4個
- バニラエッセンス: 小さじ1
- 牛乳: 120ml
ミルクシロップ
- エバミルク: 400ml (1缶)
- コンデンスミルク: 300g (1缶)
- 生クリーム(または牛乳): 120ml
- バニラエッセンス: 小さじ1/2
- シナモンパウダー(お好みで、アブエラ風の隠し味): 少々
トッピング
- 生クリーム: 400ml
- 砂糖(お好みで、生クリーム用): 大さじ3〜4
- フルーツ(いちご、ラズベリー、マンゴーなど): 適量
- シナモンスティックやミントの葉(飾り用): 適量
※材料はできるだけ常温に戻しておくと、生地が分離しにくく、ふっくらと仕上がります。特に卵とバターは重要です。

アブエラ風トレスレチェケーキの作り方
さあ、いよいよアブエラ風トレスレチェケーキ作りの本番です。簡単ながらも美味しいケーキを焼き上げるためのステップを、丁寧に追っていきましょう。
ステップ1:下準備とケーキ生地作り
- オーブンを180℃に予熱しておきます。9×13インチの耐熱皿の内側に薄くバター(分量外)を塗り、薄力粉(分量外)をはたいておきます。余分な粉は落としましょう。ベーキングペーパーを敷いてもOKです。
- 薄力粉、ベーキングパウダー、塩を合わせてふるっておきます。
- ボウルに常温に戻した無塩バターとグラニュー糖を入れ、ハンドミキサー(または泡だて器)で白っぽくふんわりとするまでしっかりと泡立てます。クリーム状になるまで5分ほどかかることもあります。これがケーキのふわふわ感を出すためのポイントです。
- 卵を1個ずつ割り入れ、その都度しっかりと混ぜ合わせます。次の卵を加えるのは、前の卵が生地に完全に馴染んでからにしてください。ここで分離しないように、常温に戻した卵を使うことが大切です。バニラエッセンスも加えて混ぜます。
- ふるっておいた粉類の1/3を加え、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせます。粉っぽさが少し残っている状態で止めます。
- 牛乳の半分を加え、混ぜ合わせます。
- 残りの粉類の半分を加え、さっくり混ぜます。
- 残りの牛乳をすべて加え、混ぜます。
- 残りの粉類をすべて加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜますが、混ぜすぎないように注意してください。練りすぎるとグルテンが出すぎて固いケーキになってしまいます。全体が均一になったら混ぜ終わりです。
- 準備した型に生地を流し入れ、表面をゴムベラで平らにならします。型を台にトントンと軽く打ち付けて、生地の中の大きな気泡を抜きます。
ステップ2:ケーキを焼く
- 180℃に予熱したオーブンで、30〜35分焼きます。竹串を刺してみて、生地がついてこなければ焼き上がりです。オーブンによって焼き時間は異なるので、様子を見ながら調整してください。
- 焼きあがったらオーブンから取り出し、型に入れたまま網の上に置いて粗熱を取ります。完全に冷ます必要はありません。少し温かいうちに次のステップに進みます。

ステップ3:ミルクシロップを作り、ケーキに染み込ませる
- ケーキがまだ少し温かいうちに、竹串やフォークを使って、ケーキ全体にたくさんの穴を開けます。特に縁の部分もしっかりと穴を開けてください。この穴がミルクシロップを吸い込む道筋となります。
- ミルクシロップの材料(エバミルク、コンデンスミルク、生クリームまたは牛乳、バニラエッセンス、お好みでシナモンパウダー)を別のボウルに入れ、泡だて器でよく混ぜ合わせます。
- 穴を開けたケーキの上に、このミルクシロップをゆっくりと、全体に均等になるように注ぎます。最初はシロップが表面に溜まりますが、次第にケーキが吸収していきます。急がず、何度かに分けて注いでも良いでしょう。
- 全てのシロップを注いだら、ケーキを型に入れたままラップをかけ、冷蔵庫で最低4時間、できれば一晩しっかりと冷やします。この冷やす時間が、ケーキにシロップをしっかりと染み込ませ、しっとりとした食感を生み出すために非常に重要です。一晩冷やすことで、生地が完全にシロップを吸収し、最高の状態になります。

ステップ4:トッピングをして仕上げる
- ケーキが十分に冷えてシロップが染み込んだら、トッピングの準備をします。冷たい生クリームと砂糖をボウルに入れ、ハンドミキサーで泡立てます。角が立つくらいの固さ、またはお好みの固さに泡立ててください。
- 冷やしておいたケーキの上に泡立てた生クリームを広げます。パレットナイフやゴムベラを使って、表面を均一にならしたり、お好みでデコレーションしたりします。
- お好みで、カットしたフルーツ(いちご、ラズベリー、マンゴー、バナナなど)を飾ります。シナモンスティックやミントの葉を添えても素敵です。アブエラ風に、仕上げにシナモンパウダーを軽く振りかけるのもおすすめです。
- 切り分ける直前まで再び冷蔵庫で冷やしておきます。

美味しく作るためのヒントとコツ
このアブエラ風トレスレチェケーキをさらに美味しくするための、いくつかのヒントとコツをご紹介します。
- 材料は常温で: 特にバターと卵は、必ず使う30分〜1時間前に冷蔵庫から出し、常温に戻しておきましょう。これにより、他の材料と均一に混ざりやすくなり、ふっくらとしたきめ細かい生地に仕上がります。
- バターと砂糖のクリーミング: バターと砂糖をしっかりと白っぽく、空気を含んでふんわりするまで混ぜる工程(クリーミング)は、ケーキの食感を左右する重要なステップです。ここを丁寧に行うことで、軽い口当たりのスポンジができます。
- 粉類の混ぜすぎに注意: 薄力粉を加えた後は、練らないように、切るようにさっくりと混ぜてください。混ぜすぎるとグルテンが過剰に形成され、固く目の詰まったケーキになってしまいます。
- 穴はしっかりと: ミルクシロップを最大限に吸収させるために、竹串やフォークで開ける穴はケチらず、生地全体にびっしりと開けましょう。特に型の縁に近い部分はシロップが染み込みにくいことがあるので念入りに。
- シロップの量: 初めて作る方は、こんなにたくさんのシロップで大丈夫?と心配になるかもしれませんが、トレスレチェケーキは「ミルクに浸ったケーキ」が特徴です。躊躇せずに記載されている分量を全て注いでください。
- 冷蔵庫での冷却時間: 最低4時間は必須ですが、可能であれば一晩しっかりと冷やすことを強くおすすめします。時間が経つにつれてシロップが生地の中心までしっかり染み込み、生地と一体となって極上のしっとり感と風味を生み出します。
- トッピングのタイミング: ホイップクリームは食べる直前にデコレーションするのが理想的ですが、事前にデコレーションしておいても数時間程度なら大丈夫です。ただし、フルーツを飾る場合は、フルーツの種類によっては水分が出やすいものもあるため、提供する少し前に飾るのがおすすめです。
アブエラ風トレスレチェケーキのバリエーション
基本のアブエラ風トレスレチェケーキのレシピをマスターしたら、様々なアレンジで自分好みの味を見つけるのも楽しいでしょう。ここではいくつかのバリエーションアイデアをご紹介します。
- ココナッツ風味: ミルクシロップにココナッツミルクを少量加えたり、トッピングにローストしたココナッツフレークを散らしたりすると、トロピカルな夏のデザートになります。
- コーヒー風味: ミルクシロップにインスタントコーヒーを少量溶かして加えたり、エスプレッソを少量混ぜたりすると、大人向けのコーヒー風味になります。
- チョコレート風味: ココアパウダーを薄力粉と一緒にふるい入れたり、ミルクシロップにチョコレートシロップや溶かしたチョコレートを加えたりすると、濃厚なチョコレートトレスレチェになります。
- スパイスアレンジ: アブエラ風レシピでも少しシナモンを使いましたが、カルダモンやナツメグなど、他のスパイスを少量加えることで、さらに深みのある世界の味を表現できます。
- フルーツの変更: いちごやラズベリー以外にも、マンゴー、パイナップル、キウイフルーツなど、お好みの夏のフルーツをたっぷり飾って楽しんでください。
- リキュールを加える: 大人の方向けに、ミルクシロップにラム酒やコーヒーリキュールなどを少量加えるのも、風味豊かでおすすめです。
これらのバリエーションを試すことで、飽きずに何度もアブエラ風トレスレチェケーキ|夏にぴったりの9×13インチ簡単スイーツを楽しむことができるでしょう。
保存方法
トレスレチェケーキは冷蔵庫での保存が必須です。型に入れたままラップをするか、密閉容器に移して冷蔵庫で保存してください。しっかりと冷やした状態であれば、冷蔵庫で2〜3日美味しくいただけます。時間が経つにつれてさらにシロップが馴染み、違った美味しさになることもあります。
冷凍も可能ですが、食感が少し変わる可能性があります。小さく切り分けてラップで包み、さらにフリーザーバッグなどに入れて冷凍庫へ。食べる際は冷蔵庫に移してゆっくり解凍するのがおすすめです。冷凍した場合の保存期間は約1ヶ月ですが、風味が落ちる前に早めに食べるのが良いでしょう。
トレスレチェケーキの文化的な背景
トレスレチェケーキは、単なるデザートではなく、ラテンアメリカ諸国の文化に深く根付いた伝統料理です。お祭りや誕生日、結婚式など、特別な日には欠かせない存在であり、家族や友人との絆を深めるための大切な役割を果たしています。おばあさん(アブエラ)から孫へと代々受け継がれるレシピも多く、それぞれの家庭の味があるのもこのケーキの特徴です。
なぜ「3つのミルク」なのかについては諸説ありますが、一説には第二次世界大戦中にミルクの配給制が敷かれた際、様々な種類のミルクを混ぜて使うことで、限られた材料でも美味しいお菓子を作ろうとしたのが始まりという説もあります。また、メキシコのネスレ社が製品の宣伝のために考案したレシピが広まったという説も有力です。
いずれにしても、このケーキがラテンアメリカ全土、そして世界中に広がり、愛されるようになったのは、その比類なき美味しさと、温かい家庭の味を感じさせる親しみやすさゆえでしょう。今回の「アブエラ風」という名前には、そうした伝統料理への敬意と、家庭で代々受け継がれるような温かさを込めています。このケーキを作ることは、各国料理に触れ、遠い異国の世界の味を感じる、素敵な食文化体験と言えるでしょう。

他のミルクを使ったデザートとの比較
ミルクをたっぷり使ったデザートは世界中にたくさんあります。例えば、イタリアのパンナコッタ、フランスのブランマンジェ、日本の牛乳寒天なども牛乳を使った冷たいデザートですね。しかし、トレスレチェケーキは、ケーキ生地自体に液体をこれほどまでに吸収させるという点で、他のデザートとは一線を画しています。
カスタードクリームやプリンのように固めるのではなく、あくまでスポンジケーキのふわふわ感を保ちつつ、内部がシロップで満たされるという独特の構造が、トレスレチェケーキの魅力を生み出しています。この「スポンジが液体をたっぷり吸っている」という特徴が、他のデザートにはないジューシーでリッチな食感を生み出しているのです。
また、ミルクの種類をエバミルク、コンデンスミルク、生クリーム(または牛乳)と使い分けることで、それぞれのミルクが持つ風味やコク、甘さが絶妙に組み合わさり、奥行きのある味わいになります。エバミルクの香ばしさ、コンデンスミルクの濃厚な甘さ、そして生クリームのクリーミーさ。これらが一体となることで生まれるハーモニーこそが、トレスレチェケーキの魔法なのです。
まとめ
夏にぴったりの簡単スイーツ、「アブエラ風トレスレチェケーキ|夏にぴったりの9×13インチ簡単スイーツ」のレシピ、いかがでしたでしょうか? オーブンと一つの型、そしていくつかの基本的な材料があれば、誰でも伝統料理であるこの素晴らしい世界の味をご家庭で楽しむことができます。
焼き立てのふわふわスポンジに、3種のミルクをブレンドした特製シロップをたっぷり染み込ませ、一晩じっくり冷やすことで完成するトレスレチェケーキは、まさに夏に最高のデザートです。ひんやりと冷たい口当たりと、ジュワッと広がるミルクの豊かな風味、そして滑らかなホイップクリームの組み合わせは、一度食べたら忘れられない美味しさ。
9×13インチ型でたっぷり作れるので、家族みんなで、あるいは友人や大切な人と分け合って、楽しい夏のひとときを過ごすのにぴったりです。お好みでフルーツやスパイスを加えてアレンジすれば、さらにオリジナリティあふれる一品に仕上がります。この夏は、ぜひアブエラ風トレスレチェケーキ作りに挑戦して、ご自宅で各国料理の温かくて美味しい魅力を味わってみてください。
キッチンに広がる甘い香り、そして完成したケーキを見たときの喜びは格別です。手作りならではの愛情たっぷりの味わいは、きっとあなたの夏の思い出をより一層彩ってくれることでしょう。さあ、今すぐ材料を揃えて、あなただけのアブエラ風トレスレチェケーキを作りましょう!
ご紹介したレシピは基本的なものです。お好みで甘さやスパイスの量を調整したり、生地にココアやレモンの皮などを加えたりして、ご自身の「アブエラ風」を追求してみてください。
